急速に景気が悪化した愛知県内で、タクシーやハイヤーの運転に必要な第2種普通免許の取得者が昨夏以降、急増している。非正規雇用者を中心に失業者が相次ぐ中、タクシー会社で正社員として働こうとする人が増えたためだ。採用を一昨年の約2倍に増やすタクシー会社も出てきた。
愛知県警運転免許課によると、08年1〜11月に2種免許を取得したのは909人。前年同期の815人から94人(約12%)増えた。特に7月は前年の4倍増の116人で、7月以降も毎月100人前後が取得している。
背景にあるのが、人材確保の好機と見たタクシー会社の動きだ。名古屋地区の大手、つばめグループ(名古屋市中区)は社員約2000人のうち、毎年300人が退職するなど入れ替わりが激しく慢性的な求人難が続いていたが、昨年9月以降は自動車産業で働いていた元派遣社員の転職者が増えたという。
免許取得の費用は会社が全額負担し、寮も提供。名古屋の地理に疎く、接客に不慣れな人もいるため、研修期間を延ばして対応している。昨年12月は前年同月より14人多い45人が、今年はすでに30人が入社しており、年間では退職予定者の倍に当たる600人を採用する計画だ。
天野清美社長は「(景気がいい時は)力を入れても集まらなかったのに、昨年9月以降は若い世代の就職希望者が増えた」と話す。研修中の川崎義英さん(48)は昨年11月、派遣社員として働いていた栃木県の自動車工場を解雇され「早く仕事を探し、両親を安心させたい」とタクシー運転手への転職を決意。いったん帰省した長崎でつばめタクシーの求人を見つけた。
名鉄交通(名古屋市中川区)も、昨年4月から月10人以上のペースで正社員として運転手を採用している。これまでは九州や北海道で求人しても人材確保がままならなかったが、今では地元の入社希望者が増えており、同市瑞穂区に2階建ての社員寮も建てた。谷口寿一総務部長は「優秀な人材確保のチャンス」と話している
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