派遣の実態。
日本で最も社会的な論議のひとつとなっている日雇い労働者派遣問題。その実態はどうなっているのだろうか?
フリーターと呼ばれ、その日暮らしをしているのは決して若者らだけではなく、むしろ中高年者が目立つ。
生活苦から望んで残業する中年女性が目立ち、消費者ローンの返済で翌日の生活費の工面に必死の人もいる。
かつて大阪・釜ケ崎、東京・山谷に代表された、日毎に就労現場を変える日雇い労働者の群れは、今や全国津々浦々に広がっている状態だ。
首都圏の郊外には食品加工の下請け企業の集積する場所が幾つもある。コンビニエンスストア、24時間営業のスーパーマーケットなどに配送する弁当、惣菜、デザート、生菓子類などを製造する食品企業は例外なく365日、24時間操業している。労働力不足解消と人件費削減には人材派遣会社と契約しての日雇い就労者受け入れが一番好都合のようだ。因みに、日給は法定最低賃金に限りなく近く、しかも交通費は不支給である。
「格差の拡大」が流行語となっているが、広がっているのは貧富の格差だけではない。同一職場での正規被雇用者(正社員)と常勤パートタイマー、そして非常勤派遣労働者との間に深刻な差別が拡大しているのだ。
休みなく働いた末、「低所得層」と分類されても、「生活レベルは落としたくない。消費を極端に自粛したくない」との志向が強い。
母子家庭の収入はこのような「女工哀史」を髣髴させる粉骨砕身の労働を通じても、1月に手取り20万円を超えれば良い方という。
確かに常勤パートでも実収入は多くて1日7千円余り、月25日働いても20万円に満たない。残りの4、5日を日雇いで働いてようやく20万円の大台を突破できる。休日はほとんどない。
「貧困層」と呼ばれる人々のこんな日々の繰り返しが、心を蝕み、荒ばせている。親の心の荒廃は子供に直に伝わる。家庭をめぐる悲惨な犯罪が多発するのもここに根源があるのではないだろうか。
増殖するばかりの派遣業者。労働者派遣法はさらに改定され、全職種が対象となるのも時間の問題であろう。
日本型貧困を悪化させている人材派遣業者の利益=ピンはね額は闇の中である。永田町に巨額のキックバックがあることは間違いあるまい。来る総選挙でもこの深刻な問題がさしたる争点になる気配はない。前政権が唱えた「安心社会作り」がそらぞらしく感じてならない。
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