近年、結婚をしたいと考えているのに、それができない独身男性が増えるようになってきた。
一般に、男性が結婚できない大きな理由として挙げられているのは、「経済力」の問題である。これは、格差社会の到来によって収入の少ない男性が増えてきたため、そのことが、女性が結婚するのをためらう原因となって、結婚し家庭を築くことを困難にしているという考え方である。
だが、果たして本当に「経済力」が、結婚するにあたっての最大の障害になっていると言えるのだろうか。
確かに、各種のアンケート調査の結果は、収入が少ない人ほど結婚している割合が小さくなる傾向を示している。たとえば、労働政策研究・研修機構『若者就業支援の現状と課題』によって、男性労働者の収入階層別有配偶率(02年調査)をみると、年収が1500万円以上の30〜34歳男性の有配偶率は90.0%に達している。10人中9人が結婚している計算だ。それに対して、年収が150〜199万円の30〜34歳男性の有配偶率はわずか34.0%にすぎない。
そして、年収が少ないのは非正社員という雇用形態によるところが大きい。実際、同調査によると、正社員男性(15〜34歳)の有配偶率が40.4%となっているのに対して、非正社員男性(15〜34歳)の有配偶率は13.5%にとどまっている。
しかし、独身女性に対するアンケート調査の結果によると、必ずしも、男性の「経済力」が結婚の第1条件となっているわけではないことが分かる。
たとえば、マクロミル社が20代・30代の未婚女性1000人を対象に実施したインターネットアンケート調査(06年7月11日〜12日実施)の結果によると、結婚相手に求める条件として1番に挙げられているのが「性格・人柄」(99.5%)であり、2番目が「価値観・相性が合うこと」(97.8%)であった。「所得などの経済力」(84.1%)は7番目の順位となっている。
また、女性向けサイトの「OZmall」が行ったインターネットアンケート調査『恋人と結婚相手に求める条件』(08年6月16日〜7月1日実施)においても、結婚相手に求める条件として1番に挙げられていたのは「性格」(54.0%)であり、「財力・仕事」を挙げる女性は全体の29.0%にすぎなかった。
女性が結婚相手に求める条件として1番に挙げる「性格」や「人柄」は、「コミュニケーション能力」と言い換えても差し支えないだろう。
「収入が少ない男性が結婚できずにいる」という事実と、「女性は結婚の条件として収入をそれほど重視していない」という2つの事実の矛盾は、どのように説明できるのだろうか。ひとつ、考えられる仮説は、「収入が少ない人ほど結婚ができない」というのは、実は、見かけ上の相関にすぎないというものだ。
つまり、実際には、性格や人柄を反映する「コミュニケーション能力」の格差が結婚できない最大の理由になっているのだが、「コミュニケーション能力」の格差が、一方では収入格差を生み出す原因にもなっているため、実際に目に見える収入格差こそが「結婚することができない」最大の理由と考えられてしまっているということだ。
「コミュニケーション能力」の格差が、収入格差を生み出す原因であることは、企業側へのアンケート調査の結果からも明らかである。
たとえば、日本経団連の『2007年度・新卒者採用に関するアンケート調査結果の概要』(602社を対象に07年10月に実施)によると、企業が採用選考時に重視する要素として1番に挙げられたのは「コミュニケーション能力」(79.5%)で、5年連連続で1位となっている。
「コミュニケーション能力」の高低こそが結婚できるかどうかの決定的な要因だとすれば、結婚するにあたって、未婚男性が最も重要視しなければならないことは、いかに「コミュニケーション能力」を高めていくかということになる。
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